インタビュー

『がんばれ、キラメキびと』第2回 対談者 西川 孝さん (後編)

概要

シリーズ『がんばれ、キラメキびと』。狩谷亮裕さんのインタビュー企画。前向きに
取り組む仲間の活動を紹介することで、一人でも多くの人たちを勇気づけられ
たらとの願いから始まった。2 回目の今回は、和歌山県御坊市在住の西川孝さん
を紹介する。

提案したい在宅介護のあるべき姿

狩谷
狩谷
お久しぶりです。あれからひと月ほどが経ちましたが、本日もよろしくお願いします。
西川
西川
こちらこそよろしくお願いします。お互い体調と相談しながらのところがあるから仕方ないこととはいえ、ご迷惑をおかけしました。
狩谷
狩谷
とんでもないです。こちらこそ申し訳ございません。早速ですが、今回はケガから9年。お世話になった病院に車いすを寄贈するなど、本格的に社会貢献活動を始めた西川さんが次に目指しているものをお聞かせいただきたいのですが。
西川
西川
そうですね。考えることはたくさんあるが、目指していることは”在宅介護のあり方”。
高齢者社会を迎え在宅介護の環境もずいぶん整ってきたとは思いますが、その制度を利用する立場になって気づくのは、病院での生活と在宅での生活とのギャップ。
狩谷
狩谷
病院では医師や看護師。自宅では主にヘルパーがお世話に入るってことですね。
そこにお世話してくれる方によって質の違いがあるということでしょうか。
西川
西川
はい。これは病院側と在宅介護の事業所との連携が足らないことによるものだと考えます。
在宅に移行するとき、ドクター。看護師。事業所やヘルパーを交えて、しっかりとコミュニケーションを図るべきなのです。私たち頚損や脊損の症状は、障害の部位により個人差も大きく、症状そのものを知らないヘルパーも多いので、在宅になってから入ってくれるヘルパーにいちから説明をしなければならない。
狩谷
狩谷
体調の悪い中でそうしたことは大変ですね。退院時のカンファレンスで病院の側と、ケアマネさんや相談員さんが話し合ってくれているのでしょうが、なかなかスムーズな移行というのは難しいんでしょうね。
西川
西川
退院時のカンファレンスは形式的なもの。自分のテリトリーの中でやっていて、表面的なもので終わってしまっている。
狩谷
狩谷
どうしたらいいんでしょうかね。
西川
西川
本人を交え医師、看護師、ヘルパーが情報を共有し、それぞれの目線で意見を出し合い、しっかりとコミュニケーションを図ってもらいたい。
狩谷
狩谷
連絡だけで済ませるのではなく、それぞれの目線で意見を出し合う。まさしく会議をして、しっかりとコミュニケーションを図らないと、在宅介護へのスムーズな流れができない と。
西川
西川
誰もが年をとる。いつまでも元気でいられたらいいのですが、いつかヘルパーさんらにお世話にならなければならない。わたしは先に介護の現場を経験したものの使命として、そうした時に苦労しないため、スムーズな流れを構築できればと考えています。
狩谷
狩谷
自分のためだけじゃなくこれからの在宅介護のためにという意識ですね。「自分のことは、自分では分かっているから、言わなくても分かってくれているだろう」と思っていたが、実は分かってくれてなかったことに後になって気づいて、お互いに誤解を招き、気まずい思いをすることになってしまうということもありますよね。

利用する者の立場で提案を

西川
西川
介護用品でも言えることです。医師を中心にした健常者らの判断で提供してくれることが多い。しかし、機器も年々新しいものができる。それを医療や介護の現場の人が常に知っている ということは難しい。だからといって機器メーカーの方も使うものの気持ちまでは分からない。本人が使って初めて分かること。
狩谷
狩谷
歯がゆい思いをされているのでしょうね。
西川
西川
いや。提案したいだけです。そうすることで自分だけじゃなく、お世話して頂いている人も楽になる。『こいつ面倒くさい奴や』と思われるかもしれないけど、より良いものをお互いが協力し合ってつくりあげていくことに在宅介護の未来がある。私の夢物語かもしれないけどね。
狩谷
狩谷
例えそれが夢であったとしても夢を語れるというのは、心に余裕があるからでしょうし、夢を語ることでさらに余裕ができる。なるほど。

誰に対しても常に感謝。~お互いに目指す未来へと~

西川
西川
誰に対しても常に『ありがとう』と言える自分でありたいと思っている。そうしないと自分の考えはなかなか人に伝わらないだろうから。そして、もう一つ心掛けているのが、訪問してくれた方に帰りしな、『さようなら』とは言わず『バイバイ』と言うようにしている。
『さようなら』は終わってしまうような気がするが、
『バイバイ』だと、明日また、という気持ちになるからね。
狩谷
狩谷
『ありがとうございました』は、終わってしまう。『おおきに』だと次につながる って感じでしょうか。
西川
西川
ながながと話を聞いてくれてありがとう。これからも連絡を取り合って協力し合いましょう。
狩谷
狩谷
こちらこそ、貴重な話をお伺いでき大変ありがとうございました。
西川
西川
じゃ、また。次に会える時までバイバイ。
狩谷
狩谷
おおきに。