インタビュー

『がんばれ、キラメキびと』 第9回 対談者 SABINEKOさん

シリーズでお送りしている、狩谷亮裕さんのインタビュー企画。
『がんばれ、キラメキびと』
前向きに取り組む仲間の活動を紹介することで、一人でも多くの人たちを勇気づけられ
たらとの願いから始まった。

インタビュー9回目は、ペンネーム「SABINEKO」さんとの対談を紹介する。

本人の希望でペンネームでの掲載を希望されたSABINEKOさん。
幼少の頃よりピアノを弾くことに憧れ、いまやっとその思いが実現。もともと体を動かすことが大好きで、スキーやスキューバダイビングなどの資格をお持ちです。ことを始めるとつきつめたくなる、そんなまじめで情熱的な方です。

今回、天文公園でストリートピアノを弾いているSABINEKOさんとの偶然の出逢いから今回のインタビューを受けていただくことになりました。休みの日は県内のストリートピアノを巡っているそうです。これからさらにSさんのお気に入りの曲が増えることを願っています。ストリートピアノを通じて、様々な思いが次へつながることを期待しています。

とことん納得できるまで 可能性の『芽』をつまないように
~そこからどんなものが見つかるかわからない~

狩谷
狩谷
天文公園のストリートピアノは、どのようにして知りましたか?
SABINEKO
SABINEKO
「和歌山県にあるストリートピアノ」で検索しました。その時にここにピアノがあることを知りました。ピアノの写真も載っていました。以前は、県内何カ所かへも行きました。御坊駅にも期間限定のピアノがあったのですが…。天文公園は印南駅へ行くよりも近いので嬉しいです。
狩谷
狩谷
天文公園のストリートピアノと初めて出会った感想はどうですか?
SABINEKO
SABINEKO
ピアノによって鍵盤の感触がそれぞれ違うので、このピアノはどういう加減で弾けばいいのか、どのように弾けばこのピアノの最高の響かせ方ができるのか、手探りで考えながら弾きました。
狩谷
狩谷
ピアノが好きなんですね。ところで「ピアノ」に出会ったきっかけは?
SABINEKO
SABINEKO
初めてピアノを習いたいと思ったのは、小学校低学年くらいの時でした。親に話したところ、ピアノの置く場所などが確保しにくいことが原因で反対されました。でも、音楽関係の仕事や学校の先生など、ピアノの職に就くのであればいいという意見でした。

当時の私にはそういった気持ちは全くありませんでした。また自分がそういった職業に就こうとも全く考えていなかったので縁がないんだな、そういうものだよな と思って、ピアノを習うことを諦めました。でもあの時習っていたら、もっと世界が広がっていたのかもしれません。今はこの経験から、小さい時にやりたいことをやらせてあげることは、可能性を壊さないためにも必要だと感じています。

狩谷
狩谷
「~をやりなさい」という、強い強制や指示調の言葉は、時には必要になることもあるでしょうが、多様性に富んでいる現代では、”締め付け感”を強く感じてしまう。

どちらかというと今SABINEKOさんが仰ったような、相手の自由な気持ちを尊重した姿勢や、周りからの励ましの言葉をもらえる方がのびのびと自分らしく進んでいけるかも。

SABINEKO
SABINEKO
そうですね。可能性の『芽』をつまないように。本当にやりたいことは、とことん納得できるまでやらせてあげるのがいいと思います。そこからどんなものが見つかるかわからないから。

私も小学生の頃、ピアノを弾きたいという気持ちがあったので、習っている子に弾いてもらったりしていました。大人になってからも楽器は何かやりたいという思いはあって、ストリートピアノを始める前は三味線を習ってみようかなと思ってもいました。

狩谷
狩谷
三味線ですか?
SABINEKO
SABINEKO
はい。時々買いに行っていた移動販売の弁当屋さんで働いていた方が、年内いっぱいで仕事をやめるとなって。閉店の挨拶とともに小さな袋にお礼の言葉が添えられていました。その中に「三味線を体験しませんか」という広告も入っていました。習いに行こうと思ったのですが、行きそびれて9か月近く経ちました。

そんな中、個人でピアノ教室をやっている方と話をする機会がありました。私の弾きたい曲をお伝えし、ピアノを習ったことがない私が弾くことができるかどうか尋ねました。そういう人のためのピアノ教室をやっているので、よかっら来ませんかということだったので、一昨年の9月からピアノを習い始めました。でも、その先生が教室を閉めることになったので、今は他の先生を探しながら、我流でストリートピアノを弾いています。

狩谷
狩谷
インタビューの事前にX Japanの曲を弾けるようになりたいとお聞きしたのですが、それが当時弾きたかった曲ですか?
SABINEKO
SABINEKO
YOSHIKIさんのピアノが綺麗で、心に響きました。この曲を聞いた時、自分もいつか弾いてみたいと強く思いました。先生に出会ったときその思いがふっと蘇りました。先生には楽譜が読めないことも伝えました。それでも先生は承諾してくれました。

曲は頭で覚えて、まずは右手から、そして次は左手もあわせてという具合でレッスンは進んでいきました。だからかなりの時間がかかりました。右手と左手で違う動きをするわけですから、なかなかうまくできず苦労しました。楽譜を見ただけでスラスラとピアノを弾く人って本当にすごいなぁと思いました。


本当は諦めかけていた 強い思いと巡り合わせが引き寄せた学びのきっかけ
~やりたいことをやらせてもらっていることに感謝~

狩谷
狩谷
学べるきっかけが幼少期にあって、日々生きる中で、再びそれについて学べる人や場所に出逢えるってすごいですね。
SABINEKO
SABINEKO
本当は諦めかけていました。でも思わぬところから先生に出逢って、好きな曲を弾くことができた。思っていたから、巡り合えたのかな。不思議な巡りあわせですね。
狩谷
狩谷
強い思いがあったのですね。たまたまかなのか。必然なのか。でもつながるときは、どんどん進んでいく。
SABINEKO
SABINEKO
そうですね。出逢わせてもらったことで、物の見方や捉え方が変わってくる。私はスポーツなどをして体を動かすことが大好きです。中学・高校では陸上やテニスをしていました。

ある時、いとこからスキーに誘われスキーツアーに参加して。それからスキーにはまり、ほぼ毎年のように長野や新潟などのスキー場へ出かけていました。当時は、何も習い事などしたことがなかったので、自分に自慢できるものがなかった。これだけは誰にも負けないくらいがんばったというものがほしかったんです。

狩谷
狩谷
わかります、その気持ち。自分に自信をつけたいですよね。私の場合はそれが心理学だったのですが、SABINEKOさんの場合はスキーだったのですね。
SABINEKO
SABINEKO
長野県ではスキー検定を取得するために、住み込みでスキー場のバイトをしていました。冬は充実していたのですが、夏場は寂しいなと思い始め…。それでスキューバダイビングのライセンスも取得し、沖縄などへも潜りに行きました。心のどこかに芸術性や感動する景色といったものに対するあこがれのような感情がありました。
狩谷
狩谷
思い込んだら突き詰めるタイプですか?(笑)ピアノもいろいろなところへ弾きに行かれているようだし、自分が納得するまでやってみたい感じですね。
SABINEKO
SABINEKO
決して平坦ではなかったのですが、スキーへ行くことにも、親はあまりよく思っていなかったです。〇〇にスキーに行くからと言っても、親は大反対。親が寝ている間に静かに準備をして、出ていくという、肩身の狭い思いでしたが、当時は上達したいという思いの方が強かった。

それでも、今はこうして自分のやりたいことができている・やらせてもらっていることに感謝です。

狩谷
狩谷
スポーツと芸術は世界が違っていても、今自分が見えている景色で、体感しているのは、同じ自分なので、一瞬一瞬を楽しめたらすてきですよね。
SABINEKO
SABINEKO
大人になってスキーなどの話をすると受け入れてもらえないこともある。自分のやりたいこと、自分が楽しいことばかりやっている人なのかって。楽しいと思っていることを話しただけなのに、”世界が違う人”って言われて壁をつくられてしまったり・・・。それで自分のやっていることを他の人に話すのがためらいがちになるんです。
分かってもらえてよかった。
狩谷
狩谷
子どもの頃は、学校や試験勉強などの『与えられた目標』があってそれをクリアしたら合格という明確なゴールがあるけど、大人になると、その目標自体を自分で決めなければいけない。

自分で何かに挑戦するとか、計画的に何かに取り組むということに慣れておかないと、そういう機会はどんどん少なくなってきますよね。

SABINEKO
SABINEKO
目標をもって自分のやりたいことに向かって進む。すると明るくなれるし、元気になれる。思ってもいなかった自分にも出会えるし、いろんな気付きがある。何もかもすべて忘れて、無心になって取り組むって、いいですよね。私にとって今はそれがピアノで、本当に楽しいですし、至福の一時です!
狩谷
狩谷
最後に、今後弾いてみたい曲があれば教えてください。
SABINEKO
SABINEKO
X Japan繋がりでいくと、 「Forever Love」は、弾いてみたいかな。
それ以外だと、Sexy Zoneの「夏のハイドレンジア」、Back numberの「ヒロイン」なども弾いてみたいです。
今は、「ENDLESS RAIN」しか弾けないけれど、今後徐々にレパートリーを増やしていきたいなと思っています。
狩谷
狩谷
これからも、自分のペースで楽しんでください。
本日はありがとうございました。

編集後記
~SABINEKOさんの誠実なお人柄と清廉な音色に触れて~

* 実はSABINEKOさんはインタビュー前日、白浜空港にストリートピアノを弾きに行っておられました。インタビュー前日、天文公園は休館。インタビューの中で本人に伺ったところ、毎日指を動かしていたいという思いからの行動でした。これほどまでの思いを胸に、この日に臨んでいただいたことに感謝申し上げます。なお、演奏中の動画をアップする予定でしたが、さらに素敵な出会いがあり、もう少し、練習を重ねたいということです。動画は準備が整い次第、こちらにUPさせていただきたいと思います。またさらなる出会いについても、別記事にてお知らせできればと思っています。