インタビュー

『がんばれ、キラメキびと』 第5回 対談者 原 聖志さん

天文公園宇宙君

シリーズでお送りしている、狩谷亮裕さんのインタビュー企画。『がんばれ、キラメキびと』。
前向きに取り組む仲間の活動を紹介することで、一人でも多くの人たちを勇気づけられ
たらとの願いから始まった。
5回目の今回は和歌山県日高川町の天文公園の指定委託管理を任されている、フラット・フィールド・オペレーションズの原聖志(はら・さとし)さんとの対談を紹介する。

『フラット・フィールド・オペレーションズ』の考え方

狩谷
狩谷
会社のHPを見させていただきました。その中で、「採用メッセージ」のところにあった、独楽を回し続けるには、人や技術が必要だ という言葉が印象に残っています。地域に自然と必要とされる人づくりや心づくりを大切にされているんですね。ところで、 フラット・フィールド・オペレーションズは日高川町で委託を受けている場所はどのくらいあるんですか?
原
旧川辺、中津、美山地区にそれぞれ何ヶ所かずつあります。
例えば、このかわべテニス公園、天文公園、鳴滝キャンプ場。道の駅SanPin中津。あとは愛徳荘などがあります。
狩谷
狩谷
湯浅の方にもあるのでは?
原
滝原温泉ほたるの湯や、広川町にある物産販売・飲食施設「道あかり」などもそうです。
狩谷
狩谷
コロナ禍なのに、様々なところで幅広く事業を展開されているんですね。
原
もともとフラット・フィールドは、飲食事業や温浴事業が得意な会社です。コロナ禍ではありますが、地域との信頼性をつなぐことが大切だと考えています。
それに会長ご自身が中津の出身で、地元に恩返ししたい という思いが何よりも強い方なんですよ。今年で8年目の指定管理事業となりました。

この地域ならではの”住民性”や”反発”との狭間で…

狩谷
狩谷
今までのお仕事の中でのご苦労や、やりがいなどについて、お聞かせください。
原
苦労といえば、地域性の違いや、何か新しいことをはじめようとするときの反発・衝突でしょうか。
社内の人間だけでなく、その地域の周辺住人と施設を利用するお客様との折り合いも考えなくてはいけない。
狩谷
狩谷
社内の人ならわかるんですが、地域性ですか…。
同じ日高川町内でそれほど離れていないようにみえても違ってくるものなのでしょうか?
原
はい、この辺、和佐と中津でも違いはあるなと感じます。
例えば、和佐や江川の区長さんたちは、僕らの配る弁当のビラ配りや辺りの清掃活動の呼びかけなどは率先して行ってくれています。

でも田舎ってこういう口コミみたいな、人から人への情報の伝染ってすごいじゃないですか。天文公園の管理人になって3年くらいですが、地元の住人の方や行政との連携は大事だな と思っています。

狩谷
狩谷
行政や地元の人との連携。何か分かる気がします。
今後、原さんがここでやりたいことがありましたら、教えてください。
原
天文公園は変わる!
狩谷
狩谷
大きく出ましたね。
原
というのも、こんないい施設をそのままにしておくのはもったいない。あの建物どうにかならんのか?という声はよく聞くんですよ。
僕もここは変えたいと思ってますし。例えば、遊ぶところをもっと充実させたい。現状は、天気のいい日は家族連れなどが来て、子どもさんを外で走らせたりとかはありますが、雨の日はほとんど客足がない。館内にも遊べる場所、例えば、キッズルームやミニ図書館とか、文科系のものが理想ですね。天気にかかわらず、たくさんの人に利用してもらい、楽しんでほしいです。
狩谷
狩谷
なるほど。天気のいい日ならちょっと遊びに や弁当を食べに となりますが、わざわざ雨の日にとはなりませんもんね。

 

原
なので外だけでなく、施設の中も充実させたいと思っています。例えば、働くママさんとその子どもさん向けのキッズスペースとか、図書館を作るとか…。
コロナ禍でなければフリーマーケットとかも開催していましたが、今はそれも自由にできない。声優さんを呼んで何かイベントをするとか、オリ・パラで話題になった、パブリック・ビューイングなんかもやりたいですね。
狩谷
狩谷
今、鬼滅の刃などでちょっとした声優ブームですもんね。
原
そうですね。それだけでなく、イベントをやる際にかかる費用という意味でも現実的ですし。
狩谷
狩谷
費用・コスト面ね。その観点もあったか。
原
夢だけ語っていても始まらないので。そこにどれだけ現実味を入れていけるかっていう。難しいところです。
でもコロナ、コロナと嘆いてばかりいても仕方がない。今は自分がやりたいことの準備期間だと捉えて、これをいいキッカケにさらにチャレンジしたいと思います。コロナ後も見据えていかないとね。
天文公園1 天文公園2

未来を担う子どもたちやその親など、地域住民たちのいこいの場を作りたい

 

原
天文公園はもともと文化的な施設としてスタートしているんです。なのでイベントや行事ごとをやるとしたら、さっきのパブリック・ビューイングとか、アニメの声優ショーとか。そういう、文化的なものをやりたいと思っているんです。
狩谷
狩谷
よく分かりました。
ところで、先ほど原さんからも子育てママさんやその子供を対象とした施設を作りたい という話も出ましたが、私たちの近隣の町、例えば日高町など。子育て世代の応援にも力を入れている市町村も多いのかなと感じます。
原
これからのこの町のことを考えると、大事ですよ。今、小中学校の子たちの人数やこの町の人口の割合とか見てると、30年後ぐらいには、日高川町が存在してるかどうかも危ういし。
狩谷
狩谷
私も卒業した小学校を散歩のコースで少し前に歩いて通った時、こんなに少なくなったのかって。
待てよ、自分が卒業したのって10年前ぐらいだよなぁ。10年でこのペースだと、次の10年後にはどうなっているんだろうと、少しゾッとした記憶があります。
原
だからこそ、子どもさんや、子育て世代の方を何か応援したい。そのためには、PRのしかたも重要だと思うんです。最近浸透してきたであろう、インスタを使うとかね。現状維持=衰退を意味しますから、とにかくこう、フットワーク軽く。何事も挑戦していきたいです。
狩谷
狩谷
原さんの言葉を聞いていると、心の底から何か変えたい、この町を良くしたい!という思いが伝わってきます。
原
さっきもいいましたけど、天文公園どうにかならんかなぁ。もったいない。という声は多いんですよ。それほどこの場所を大切に思ってくれている。それがこの場所の存在理由なのかなって。
だから、僕らを中心に徐々に変えていって、この地を舞台に、ここからこの町を変えていく。その良い流れがきているのではと思います。
狩谷
狩谷
天文公園を何とかしてほしい、という人たちの声が耳に届くという関係性もすばらしいです。今、この流れのタイミングで動かなければ、どこで変わるのか?ということですよね。
原
まぁ、そうですね。
狩谷
狩谷
それに、原さんが地元出身ということは、ある意味強みだと思います。田舎特有の住民同士の横のつながりのことも知ってますから。
何か物事を大きく動かすのは、『若者・よそ者・変わり者』である とはよく言いますが、その”よそ者”じゃないけれど、原さん自身がよそもん扱いされると、今のように密に地域連携を図るのは難しいですもんね。
原
とりあえずやってみないと。何がいいのか?何ができるのか? がわからないですから。
それに、うちの社長・会長ともに、親子で『ふるさと愛』がとにかくすごくて。こんな田舎になぜそこまで って思いますけど(笑)

ひとりひとりの感性を生かした、”適人適所”な仕事を

狩谷
狩谷
私のような障がい者でも、その人ひとりひとりに合った感性を生かした仕事ができればと常に考えています。なので、原さんたちが働いている、フラット・フィールドはすごくいい雰囲気だなぁ、やりがいもたくさんあるだろうなぁと感じています。
もし、何かの折にお役に立てることがあれば、協力させてください。
原
誰にも得意・不得意な部分ってありますよね。健常者の僕が言うのもなんだけれど、狩谷君のような障がい者の方のほうが、普通に仕事したら、それにまじめに取り組むと思うんですよ。メンタル面やモチベーションの持って行きかたが難しいだけで。そこさえ克服できれば十分やれると思っています。
メンタルやモチベーションが下がる時って僕らにでもありますから、一緒なんだよね、誰でも。
狩谷
狩谷
そういってもらえると、うれしいです。
原
(うちが運営している)鳴滝のキャンプ場でも福祉施設の方が仕事を請け負ってくれていますよね。やれる人がやれる仕事をすればいい。そのための、役割分担も大切ですよね。
狩谷
狩谷
役割分担、大切ですね。
ところで話が変わりますが、先日我が家に届いていたお弁当のチラシ、目を引きました。
原
そうでしょう!目引くよね。このお弁当も今、売上伸びてきてて。チラシのおかげで10月の弁当の数は、過去1番!実は、2019年度もコロナがなければ年間売上最高ってところまでいったんですよ。結果、コロナが直撃して、もうちょっとで最高売上という額で止まっちゃいましたけど。
このチラシや、玄関先のメニューのイラストを描いてくれる人もいてて。絵、上手いでしょう。
これも、やれる人がやれることをする ってことですね。
メニューボード
狩谷
狩谷
今日は、原さんの熱い思いを聞かせていただきました。
このチラシもそうですが、これからは、よりたくさんの人に向けて”映える”ものの提供や、サイトや新聞などの情報伝達手段の充実がさらに重要になってくるのではと感じました。
原
新聞もまだまだ田舎では強いからね。
僕も含めて他の施設の管理人さんや、フラット・フィールド・オペレーションズの会社としても、この町を良くしたい という思いが強くあるから、日高川町も天文公園も変わると思いますよ。
これからが勝負です。また何かあれば、ぜひ言ってきてね。
狩谷
狩谷
今日はお忙しい中、ありがとうございました。
原
ありがとうございました。