あったらいいな

障がい者の私が免許取得して変われたこと。~想像以上に前向きになれました~

先日、「素敵なドライビングスクール」の記事でお話ししたことを、今日はもうすこし詳しく書いていこうと思います。

脳性マヒの私が運転免許を取得するまで

私は脳性マヒによる『運動機能障害』なのですが、まず、なぜ私はこのドライビングスクールにしたかというと、障がい者用の教習車(=アクセル・ブレーキ手動式)があるということ。これが大きいです。そもそも先日も書きましたが、これが当てはまる場所が和歌山県に2ヶ所しかなかった。この時点でだいぶ絞れました。

(知人から聞いた話だと、もし県内になければその次は神戸まで行かないと教習車両として該当の車を取り扱っている場所がない。というのだから、驚きです。実際、県内にも少なかったし、ここがなければ、運転免許取得自体を諦めていました。)

どちらにしようか決めかねていましたが、リハビリ等でよくこのドライビングスクールの近くに来ていたし、後々の実地試験のことなども考えて少しでも土地勘があったほうが有利だろう ということで家族とも相談の結果、こちらのドライビングスクールに決めました。
ドライビングスクール入校までの流れを要約すると以下のようになります。

  1. 適性検査を受ける(視力・特別な車の操作など)
  2. その書類を持ってドライビングスクールへ行く
  3. ドライビングスクールで実際に特別車の操作
  4. ドライビングスクールに入校
素敵なドライビングスクール息子が車いすに乗っています。一人でも行ける範囲が広まれば、できることも何倍にも広がります。 車の免許を取ろうと思い、最寄りの警察署に相...

入校前のていねいな確認作業がうれしかった

特に③のところは熱心にやってくれ、実際に動かすのは入校の後なのでこのときはしませんでしたが、エンジンをかけたり、止まった状態で基本の操作をレクチャーしてくれたり、車での乗り降りの動きなども含めて、ベテラン教習員が3人もつきっきりで見てくれていました。私としては、恥ずかしいやら。一人のために何人も時間を割いてくれたので申し訳ないやら。複雑な感情でした。

入校後も親切な対応。自然な気配りにホッ としました

以後しばらくは、先日の記事にも書いたように、毎日、毎日「大丈夫?」聞いた話では「息子さん、辞めたいとかいってない」と私の知らないところで親にまで声をかけてくれていたようです。それだけではなく、

学科試験で不合格連発のときには、「問題の出し方が意地悪よな。『~でない』で×とか『~である』で〇とか。問題文とか設問の中の数字でひっかけてきたりとか。文章、よう読むんやで」と実地待ちの合間で声をかけてくれたり、

今S字か。僕も何回も落ちたわ。焦らんとゆっくりな など細かなメンタル部分でのアプローチはみなさん上手で、自然で何気ない一言にすごく救われました。

車に乗るうえでの心構えも教えてもらいました

そしてなによりも強調したいのが、誰に当たっても『共通のゴール』、一人で運転できること を目標として持ったうえで指導に当たってくれたことが大きいかなと思います。

私の弱点やクセ、逆に「この車を使う人はバックで苦戦するんやけど、バックの距離の掴み方上手いなぁ」 など良いところも悪いところもきちんと伝えてくれたのが、卒業までモチベーションを保つことができた一番の要因かなとかんじています。

車を取った後のことも考え、車いすを積みやすいような広い車がいいな。とか、姿勢とかみてるとイスの角度はこれぐらいがええんちゃうか?など免許を取るために必要な心構えはもちろん、後になって「あぁ、こういうことだったのか」と実感できる・・・。私が車を運転するうえで大事にしているのは、ここで学ばせてもらったことがほとんどです。

自分にあった”カーライフ”を見つけ出そう。

基本的には、分からないところは聞く心持ちで。話しやすく聞きやすい雰囲気の先生や生徒さんが多いので、その辺は遠慮なく聞くようにするのがオススメです。むしろ、分からないところをそのままにしておく方が絶対に後々大変になるかと思われます。

あとは学科と実地、そして仮免などの各種試験を見据え、バランスのよい自分に合ったスケジュール
そして、実際の車に乗っている感覚を身体で感じ、それに慣らすこと。(=オリジナルのビートを刻むイメージで)これを行うのが、免許取得への一番の近道だと、私は思います。

学科のスケジュール決めは決められた単位(例①~⑩)を順番に自分の空き時間に組み込んでいくスタイル。学科・実地ともに自分に合った時間わりを組んでいきましょう!

左手が大忙し!
入校前の、意外な!?関門
適性検査時の『”レプリカー”・ブレーキ事件』とは?

もうひとつ、私が伝えたい細かいところとしては、このアクセル・ブレーキ手動式の身障者用車両では、周囲の道路などの状況判断次第で左手が意外といそがしくなります。なぜなら、左手だけでアクセル・ブレーキコントロールのほか、指示器や人によっては警音器まで動かす必要があるからです。 いろいろと大変ダョ。

入校前に運転免許試験場などで行う適性検査では、ブレーキは特に大切なので、(動かない車のレプリカ。ここではこれを”レプリカー”と呼びます。)のブレーキ思いっっっっっ切りのパワーでブレーキを教官から要求されます。まるで命にかかわるか、もうすでに半分ぐらい死んでいるかと思うくらいの、かなりの急ブレーキのタイミングで「ブレーキ踏んで!」と言われるので、このときにこちらも超全力で、素早くブレーキをかけないと、O.Kがもらえません。
この「ブレーキを手前に押す」操作は、実際の車と違ってレプリカですのでエンジンも当然かかっておらず、かなりの力が必要になってきます。(=このブレーキが激重! 実際の車ではエンジンがかかると、もう少し軽くなるわけですが、 ここでこの経験をしておくと、本物のハンドルを握った時は、ものすごく軽く感じられました。
私はこの時の衝撃を勝手にレプリカー・ブレーキ事件』 と名付けています。

レプリカ
車(カー)ということで、”レプリカー”
ちょっとしたシャレたつもりです。

正直な話、私が握ったブレーキの中では”レプリカー” が免許を取った今振り返っても、一番重たかった…。っていうのはココだけの話ですが苦笑

とにかく、実際にこんなケースが起こると大事故なので、この1回以外こんなに力いっぱいブレーキをかけることは滅多にない
レアケースだろうと思います。
そんなこんなで適性検査直後は、自信と戦意と体力がだいぶ消失します。が、ここで自分の思うとおりにブレーキをかけられなくても、必ず実地や自分の車ではかけられます。エンジンがかかると、もう少し軽くなる ことを忘れないで!)     

これが何気に運転免許取得にあたっての最初の関門といえますので、地味にこの車種での取得を考えておられる方は、入校のしばらく前から『握力』は鍛えておいたほうがいいです!!

免許取得後、おでかけが格段に楽しくなりました

上記のようなブログだけでは伝えきれないほどの多大なるサポートを受け無事、免許を取得できた私ですが、運転免許取得後は見出しにもあるようにおでかけが格段に楽しくなった のはもちろんですが、これまでだと自分ではヘルパーや他人の力を借りなければ行きたいところにいけなかったわけですが、自分ででも、行きたいとおもったところへ行きたいと思った時間に好きなようにいけるようになった。これは、とても大きな変化です。

また、何度もくじけそうになりかけましたが、こんなに追い込まれても、乗り越えることができたんだ!という自信。学科に実地と一口に運転免許取得といっても、複数のことを同時に作業し、(車の運転時のほかにも、各授業のスケジューリングなども含めて。あと、入校中の体調管理なんかも)こなしていかなければなりません。

そのマルチタスクをこなすのがどうにも苦手だった私でもこなすことができた!という自分に対しての自信がついたのが何より。これがきっかけで新たなことにも挑戦しようという意欲が湧いてきたのも確かなので、自分を認め、より多角的に、前向きに自分や周りのことを捉えることができるようになったと感じています。

自分の車で和歌山のおでかけスポットに行きました~

免許を取って約5か月、車が実際に手元に来てから約3ヶ月。これまで家でばかり過ごしていた時間も、外出に時間を使うようになりました。今回、私が行った中で、楽しかった場所をいくつか挙げてみたいと思います。

  • 椿山ダム付近の桜とこいのぼり
  • SanPin中津(産品所)

椿山ダム付近の桜とこいのぼり

日高川町の美山エリアには、椿山ダムがあります。私が訪れた頃は、ちょうど桜が咲いていたので、最高にきれいでした。また桜の写真と時期は異なりますが、たくさんの人たちの協力の下、日高川目一杯にかけられたこいのぼりも見応えがありました。

sakura-nakatsu
ダムのこいのぼり

San Pin中津(産品所)

日高川町で有名なのは、地元産品を取り扱っているSanPin中津です。県外からも多くの人が訪れる、ウチの祖母曰く『中津のメインストリート』です。新型コロナの影響で、現在は人が少ないですが、まだ私が運転に慣れていないのもあり、平時は通路の行き来も大変なぐらいです。※画像は「ロカル和歌山」さん より

San Pin 中津